「伝匠名錦」と「ぐんまシルク」

龍村晋氏が作り上げた至高の帯「伝匠名錦」。

比類ない柔軟性と復元力、節が少なく繊維が長い国内産生糸の「ぐんまシルク」。

この最上級の絹糸で伝匠名錦を織り上げるには、繊細かつ高い技術が要求されます。職布には縦糸と横糸のむらのない織が必要ですが、人間の手ではむらが出るため職人は古代より織機を使って均質な織物に挑んできました。しかし、どんなに機械化が進んでも、原糸が蚕という生き物が作り出したものである以上、一本一本がすべて微妙に違います。この生きた絹糸をいかに織機に馴染ませて、しっかりとした均質に打ち込みを行うかが織の真髄です。

至高の絹糸と付き合い、その特性を知り尽くした職人が緻密に打ち込んで織り上げた伝匠名錦はその復元力と伸縮性において他の追従を許しません。最上級の国内産絹糸「ぐんまシルク」をふんだんに使い織り込まれた帯は指が吸い込まれそうな感覚、包み込まれるような締め心地で、時を経てもその耐久性を肌で感じさせます。

「龍匠錦」ではこの至高の帯を職布するにあたり、目的の作品一つのために染色した絹糸は他の帯の制作には使用しない(絹糸は同じ条件にしても二度と同じには染まらないため、途中で糸を変えてしまうと織上がりの色が変化してしまうため)、数センチおきに表だけでなく裏からも織上がりを確認し糸切れが無いか、正確に文様が再現されているか確認し、小さな塵が入り込んだだけでも絹糸を解きほぐし織りなおします。代々伝えてゆける至高の帯「伝匠名錦」の織り手として、龍村晋氏の創作した文様と技術を現在に伝えるものとして常に最高の絹織物を目指しております。